Last modified: Fri Jun 9 20:24:47 JST 2017
[介護関係情報に戻る] [知恵ノートのトップに戻る]介護福祉士の実務経験ルート受験において実務者研修が必須化された最初の年である2017年1月29日に行われた介護福祉士の国家試験は前年から受験者数半減となり社会に衝撃を与えましたが実務者研修のハードルが高すぎるのが主因だと私は考えます。介護は元から給与が低かったのに受験資格を厳しくしたので、実務者研修にかかる費用と時間を考えると、介護福祉士の資格取得がペイしなくなってしまったと考えます。今後も受験者数が一層激減し「これはマズい」と修正すなわち実務者研修を受けやすくする制度が充実するまであと5年ぐらいかかると思われますが、それまで待っていられませんので、なるべく実務者研修受講の重荷を減らせないかと、各都道府県の貸付制度をリストにしてみました。
まず、今は求職中だが介護の分野で手に職を付けたいと考えていらっしゃる方は、就職する前に、求職者支援制度を活用し実費だけで介護福祉士実務者研修を受講する方法もあるのでご検討ください。
「釣った魚に餌はやらない」ともいわれますが、求職中の人間にはタダどころか給付金まで出して実務者研修を受けさせています。また、受刑者に介護実務者研修を受けさせるための国家予算も盛り込まれました。一方で既に介護の仕事に就いている介護職には自費で実務者研修を受けろというのは理解に苦しみます。パンを下さいと懇願する民衆に「パンが無ければケーキを食べればいいのに」とマリー・アントワネットが本当に言い放ったのかどうかは定かではありませんが、厚労省は「働きながら実務者を受けるのが大変なら通信で受ければいいのに。助成制度も拡充している」だそうですが、革命を起こすわけにもいかないので現行制度を何とか利用するしかありません。
目次
北海道県ごとにバラバラですが、おおむね
という制度です。よって2年以内に結婚退職・産休・転勤帯同の可能性が高いかどうかも計算してください。県内で2年以上介護の仕事をしないなら、返済を求められます。返済額は、一部が免除になる温情な県も中にはありますが、全額返済を求めてくる県の方が多いです。
ですが、頑張って受講+国試合格+介護福祉士になって2年はその県で働く、という意欲があるのでしたら、実務経験ルートで問題になる「実務者研修の費用が高過ぎる」点を大いに緩和できます。国家試験の対策講座や受験料に充てる事のできる県もあります。
なお、多くを通信で学べるとしても、仕事をしながらテキストを読んで理解し、課題をキチンと提出するのは大変で、国家試験までの修了できず受験を断念した人も居たと朝日報道にありました。無資格でしたら450時間相当を自宅で学習しなければいけないので、覚悟してください。家庭と両立している、お子さんがいる、とりわけひとり親家庭などの場合は、仕事をして家に帰って家事をして実務者研修の勉強をする時間を捻出できそうかも、よく計算なさってください。多くの貸付制度は、修了した後の国家試験での合格を求めています。再チャレンジ可能な県もありますが、詳細な条件は良く確認なさってください。
どの都府県もそうですが、役所がお金を貸すからには思い切り「お役所仕事」してきます。書類も面倒ですが、介護福祉士の資格取得に必要な実務者研修の受講にしても、受験する立場に配慮してくれているなと思える県と、無理解な県があります。とりわけ、貸付制度の募集時期が受講や受験に著しく不都合な県が、ザラにあります。そもそも、募集人数が僅少な県も多い。ですから、
実務者研修を受講しよう → 県に貸付制度はあるだろうか?
という姿勢では、貸付制度の利用はおぼつきません。
そうではなくて、貸付制度を利用する事を中心に、計画的に行動する必要があります。といった感じで、「貸付制度を利用して費用をほとんどかけずに介護福祉士になってやるぞおぉおおお!!!!」という根性が必要です。拙著「第30回介護福祉士受験対策用のテキスト・アプリ比較」もご笑覧ください。
なんで合格率7割前後の国家試験に、全員が働きながらの受験で一発で合格すると思い込む県が多いのか、と思います。要するに介護職員の立場や状況など理解できないまま、厚労省に貸付制度を県でやれと言われたから仕方なくやっている県が多いのでしょう。 |
なお都府県の貸付制度以外に、意識が高く職員のスキルアップを応援する施設ですと、介護福祉士になって何年か施設で勤務する事を条件に実務者研修の費用を負担してくれ、スクーリングの日は有給扱いにしてくれる所もあります。逆に、費用は出さない&スクーリングの日は欠勤扱いという酷い所もあります。
新規貸付の募集は行っておりません。 |
個人的感想:北海道で介護職をするなら将来のキャリアだの介護福祉士を目指すなどは諦め無資格のまま生涯働くか、介護職を応援してくれる条件の良い他県に転居して自分のキャリアアップを目指すか選ばないといけませんね。
個人的感想:良い制度運営をしていると見受けます。
まとまった案内ページ無し
介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 (PDF)
個人的感想:「貸付予定 年度30名程度を予定」というのが切ない。
介護福祉士・社会福祉士の資格取得を目指す方へ修学資金をお貸しします 募集時期 期間は,平成25年4月上旬から5月上旬まで(予定)5年間連続して従事した場合は,貸付金の返還が免除されます。 |
個人的感想:5年縛りは酷い
まとまった案内ページ無し
介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業 (PDF)
個人的感想:悪くはなさそう。
まとまった案内ページ無し
介護福祉士実務者研修受講資金貸付について個人的感想:募集10名では無いのと一緒で酷い
募集人員 70名程度 (予算がなくなり次第締切) |
個人的感想:福島では新たな介護福祉士は70人以上は要らないという事のようです
重要: 福島県の悲惨な実態が明らかになりました。こちらの質問を参照願います。
個人的感想:募集人数が不明、国試は一発合格必須というのもイマイチですが、何より「受講修了までに…3年以上従事」というのがダメダメですね。これだと無駄に一年余計に待たされます。国試の受験資格からすれば「29年度中に…3年以上従事」とするのが正しい。実者研修受講資金貸付事業を行う県社協が介護福祉士の受験資格を理解できていないというのでは「大丈夫なのか」と心配になります。
実務者研修受講資金貸付手続きの流れ[PDF]
個人的感想:【今年度の募集は終了しました】とだけ書いてある事に加え、返済免除となる条件が全く書かれていないなど、やる気の無さ全開。
介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業 概要 (XPS ファイル)
※今回の申込みは終了しました。
個人的感想:国試一発合格必須なので厳しい
実務者研修の受講料の2分の1(上限10万円) |
個人的感想:最悪でたまげます。
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。
個人的感想:実務経験3年以上でないと申し込めないので、年度末で3年なら申し込める他県 (神奈川、広島) に比べ受験資格を理解していない事がモロ判りだが、それ以外は普通。(遥かに酷い県が多いので)
個人的感想:良い部類と思われます
介護事業所が職員の資格取得を支援する場合、費用の2/3を補助します。 |
個人的感想:最悪。個人に対する貸付制度無し
個人的感想:募集10名では無いのと一緒で酷い
個人的感想:募集70人、2年縛り
県内で常時雇用している従業員数が100人未満である法人において介護等の業務に従事している者に限ります。また、各法人からの推薦は原則2人までです。 |
個人的感想:意味不明で不公平な制度になっている。100人以上なら施設で出せという事なのか。しかしこれでは、100人以上で実務者研修の受講を支援しない施設で働く介護職は介護福祉士になるなと言うのか。
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。
個人的感想: 国試一発合格必須、2年縛り。申込期間が12月1日から12月28日、追加募集が4月1日から4月20日なのはタイミング的に好都合だが、実務者研修受講資金貸付事業と介護福祉士・社会福祉士修学資金貸付事業を合計して60人とは、狭き門ですね。実務者研修では何人が借りられるのやら。
【申込み】 在学中の養成施設から申込み(学校の推薦が必要) 貸付を受けるためには、収入について一定の基準があります。 |
個人的感想:不合格の場合は3年まで待ってくれる、2年縛り、岐阜県の施設以外に東北の被災3県、あるいは国立の施設勤務でも返済免除と、他県より情が篤い。
個人的感想:不合格の場合は3年まで待ってくれる、2年縛りと条件が良い。
福祉人材センター介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業について (PDF)
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。
平成29年度の申請受け付けは、8月1日(火)~9月30日(金) 【当日消印有効】 です。 |
個人的感想:受付期間が随時でない。恐らく三重県内の介護福祉士実務者研修実施養成校に「貸付制度を利用して学びたい」と相談して、入校時期も、貸付制度に合わせる感じでしょうかね。ですが、受け付けが8月1~9月30日では、夏の受験申込には間に合わない、その年の年末までに研修が終わらない、よって年明けの国試も受けられないと、最低最悪で物凄く頭が悪い感じ。マシな貸付制度のある近隣県に転居してキャリア形成を図る事も検討しては。
個人的感想:1回は不合格でも待ってくれる、2年縛り。
個人的感想:近畿では最悪の部類。実務者研修向けの貸付制度は府のホームページにも府社協のホームページにも見当たらず (検索してヒット無し) あるのは、5年縛りの養成校向けの制度のみ
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。
高齢者や障害者の安心確保等の推進 (PDF)
介護福祉士資格取得のための実務者研修支援事業 【2,520千円】但馬、丹波、淡路地域での実務者研修実施費用の一部を助成 |
→ 受講費用を助成、というのではない。学校に助成、それも年間で250万円という意味。
介護福祉士等修学資金の手引き (PDF)
個人的感想:超悲惨。そもそも実務者研修自体、神戸や阪神、東播磨など一部の地域でしか実施されていない。但馬、丹波、淡路地域では研修実施団体に経費を助成している有様。受講生向けの制度無し。これが日本とは信じられないほど悪い。
受付期間 第Ⅰ期 4月~9月(20名枠) 第Ⅱ期 10月~3月(20名枠) ※受付人数枠を定めておりますので、お早めにお手続きください。 |
個人的感想:奈良県は新たな介護福祉士は年に40人以上は要らないという事のようです。貸付制度を利用する介護職員より、この貸付制度を決めるための人数の方が多そう。2年縛りなのは判ったが、一発合格必須なのか何年か待ってくれるのか、記載無し。
介護福祉士実務者研修受講資金貸付のご案内 (PDF)
個人的感想:募集人数は100人、2年縛り、国試不合格でも最大3年まで待ってくれるのは良いが、募集期間が7/6〜7/29なので年内に研修が終わらず、全てぶち壊し。
個人的感想:募集5名では無いのと一緒で酷い
個人的感想:5年縛りで募集30人とは、悲惨
平成28年度介護福祉士実務研修受講資金 募集要項 (PDF)
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。申込書が平成29年1月16日必着とは、またえらく受講に不便な時期ですね。夏に修了すればすぐに受験申し込みできるという点はありますが。
個人的感想:良い部類だと思われます
介護福祉士実務者研修受講資金貸付のご案内 (PDF)
◆◆ 申 請 受 付 期 間 ◆◆ 平成 28 年 7 月 29 日(金)~ 11 月 30 日(水) ※受付順で予定人数(50 名程度)まで受付けます。 実務者養成施設に今年4月1日以降に入学し在学中の方 |
個人的感想:悪い。4月に入学して募集が7月29日〜11月30日とは使いづらい制度。しかも50名のみ。事務都合ではなく、受講生のことを考えて時期は随時として欲しい。
介護福祉士修学資金等貸付制度実施要綱 (PDF)
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り
介護福祉士実務者研修受講資金貸付事業 (PDF)
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り。気のせいか徳島の要項と内容が一緒。
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り
個人的感想:国試不合格なら返済、2年縛り
介護福祉士等修学資金貸付制度事業 (PDF)
個人的感想:実務者も5年縛りで最悪
個人的感想:良い部類と思われます
個人的感想:国試一発合格必須、2年縛り
熊本県介護福祉士実務者研修受講資金貸付制度 (PDF)
個人的感想:11月30日が募集締め切りなので研修を受けるのも国家試験の受験申込のタイミング的にも最悪。何を考えているのか謎。
介護福祉士修学資金等貸付事業 (PDF)
個人的感想:提出期限が4月15日だから熊本県より若干マシ (4月募集に関しては好都合。それ以外は不都合)
個人的感想:申請期間は随時なので使いやすい制度
鹿児島県介護福祉士実務者研修受講資金のご案内(平成28年度募集) (PDF)
個人的感想:たった10万円で募集人員26人では無いよりマシと言えるか微妙
県も社協も情報無し。ただし三幸福祉カレッジの「大人気♪実務者研修~貸付金制度の無料説明会~」というページによると、制度は存在する模様。
個人的感想:コメント不能。県も社協も情報発信能力が無いのでちゃんと仕事をしているのか不安
そもそも介護福祉士等修学資金貸付制度は、かつて平成20年度の頃は国の制度だった筈です。 (介護福祉士等修学資金貸付制度について PDF) つまり本来、給与を低く抑えられている介護職員なのに、質を高めるという国の政策により、450時間と15万円ほどの研修を受けさせなければ介護福祉士を受験させないという「ムチ」を課す代償としては、2年働けば返済免除の貸付制度という「アメ」を出すから、というのが条件だった筈です。それ(貸付制度)が厚労省の責任から県へ、そして県の社協へ、と押し付けられてきたようですが、おかげで上記で述べたように県ごとに財政基盤が異なるため制度としてバラバラになっており、実質「無いのと一緒」に近い県が多いのが実態です。
結局、「アメは渡さずムチだけ振るったら介護福祉士が敬遠される資格になり下がっちゃいました」という結果になるのは誰でも分かりそうなものですが、国試の受験者が半減した背景を多角的に分析し調査研究事業を開始しさらに1年以上かけないと理解できない方々もおられるようです。
介護福祉士国試の受験者半減 厚労省「補助の積極活用を」 新施策は来年度に検討から一部、引用します。
厚労省が用意している施策は主に2種類。1つは働きながら資格を目指す介護職員への支援だ。実務者研修に通う負担を軽減するため、20万円を上限として受講費を貸し出す。それから2年間にわたり介護職員として勤め続けた人には、返済をすべて免除している。 |
前述した通り、平成20年の時点で始まった制度です。これが新たに用意された対策のように誤報されているのは「20万+2年縛り」の支援制度がいかに有名無実化しているかという現状を反映したものでしょう。
それとも今まで、まるで「STAP細胞はあります!」的に「支援策はあります!」と連呼していたのが、実際はきちんとやるべき支援をしてこなかったため受験者半減を招くという大失策を誤魔化すため、平成20年からあった制度を、新たな支援策みたいに言い出すのでしょうか。
もう1つは事業者が対象だ。職員が実務者研修に時間を割いて仕事に出られなくなると、人手不足に陥ってサービスに支障をきたすところが少なくない。このため、代わりの職員を一時的に雇うための人件費を支給している。これらの施策の窓口は、各都道府県の福祉部局や社会福祉協議会。詳しい条件などの説明もそこで行っている。 |
これも、実際に事業者を支援しているのは、千葉などごく一部の県に限られます。また、要求される書類が膨大過ぎるという問題もあり、申請に工数かかるためか、ほとんど活用されていないと思われます。
厚労省は4月以降に調査研究事業も開始する方針。国試の受験者が半減した背景を多角的に分析するとともに、どんな支援策を打てば成果があがるか見極めることが狙いだ。結果がまとまるのは来年度末の見通し。具体的なアクションを新たに起こすとすればその後とみられる。 |
単なる一受験生だった人間が知恵ノートに書いてある程度の事も理解できず、国の予算を使って受験生減少の背景を分析するだの、支援策を考えるだの、たちの悪いジョークにしか思えません。介護行政のガバナンス力がゼロというよりマイナスですね。また、来年度中も無為無策というのも酷い。
一部、前述しましたが、公明党から受刑者に介護実務者研修というニュースが発表されています。
政府は2017年度から、受刑者の再犯防止策の一環として、全国16の刑事施設(刑務所など)で、介護福祉士の資格取得に不可欠な介護職員実務者研修を実施する。施設内での職業訓練内容を見直したもので、出所後の就労、社会復帰を支援するのが目的。公明党の提案を踏まえ、17年度予算案に施策が盛り込まれた。 |
現場で懸命に働いている介護職は受刑者以下の酷い待遇で実務者研修を受けなければいけないというのも厳しいですね。どうか介護職にも受刑者並の資格取得の支援をお願いします。