Last modified: Wed Dec 4 01:52:31 JST 2019

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JRの大回り乗車入門

大回りに関しては知恵袋で度々、質問が寄せられるので共通する事柄を参考まで知恵ノートに記します。

目次

以降は関東ローカルの内容ですが

書籍の紹介

入門者の方にお勧めしたいのは、イカロス出版『大回り乗車完全ガイド』 谷崎竜 著、ISBN 978-4-8022-0077-6 です。大回りのルール関係に関してはこの書籍の1章をよく読んでください。さらに、関西の大回りであれば3章を、仙台・仙台・新潟・福岡に関しては4,5章を併せてご覧ください。

この書籍は例えば東京23区で検索すると20の区の図書館で所蔵しているほど一般的な本です。仮にお住まいの市区町村の図書館には蔵書していなくてもリクエストを出せば借りるのは容易と思われます。もちろん購入なさっても結構です。

関東の場合は、『東京大回り乗車完全ガイド』-JR東日本首都圏エリアを乗り尽くす! 谷崎 竜 イカロス出版 ISBN 978-4-8022-0475-0、の書籍の方が便利です。関東のモデルコース11プランが掲載。冒頭に写真で見所が載せられているので、行きたいところを探すのにも重宝します。関東在住の人は、この書籍も図書館でリクエストすれば読めると思います。

ウェブサイトの紹介

あまり智識の無い人が書いている事も多いので注意してください。お勧めは、「乗り鉄.net」さんのサイト http://noritetsu.net/omawari/ です。とりわけ関西の大回りに関しては他者の追随を許さない充実ぶりです、ここの路線図はわかりやすく、これを利用すれば初心者でも合法ルートの策定が容易にできるという優れものです。さらにメールアドレスで登録してメルマガ読者になると、乗り鉄.net さんのノウハウをタブレットなどで読める PDF 形式の小冊子にまとめた物を無償でダウンロードさせてもらえます。登録したら広告メールが来る、といった事は無いのでご安心ください。

基本ルールによる大回り

前述の書籍でも基本ルールによる大回りを勧めています。基本ルールによる大回りとは、

というシンプルなルールを守った大回りです。基本ルールによる大回りがお勧めなのは大回りが出来る根拠が法的にしっかりしているためです。

自動改札は通らず有人改札を通って駅を出る

最終的に不正かどうかを判断するのは駅員ですが、摘発を容易にする一助として自動改札機には「不正乗車ではないか? 話を聞こう」な不審な乗り方かを判断する機能があります。例えば、隣の駅に行くのに8時間かけている、などです。早い話、大回り乗車をすれば自動改札では引っかかって「お話を伺いましょう」となります。

大回り乗車に慣れている人は、最初から有人改札に回って「大回りしてました」と切符と見せ、また旅程表をかざします、駅員は忙しいので、私は旅程表を駅員に時間をかけてチェックされたという経験はありません。

その点、大回りに智識のない人は、わざわざ自動改札を通って引っかかり、駅員に話を聞かれて旅程表も無く説明に手間取って不正扱いされたと憤慨するパターンが多いようですが、乗る側も職員にも時間の浪費なので、最初から有人改札を通ってください。

不正乗車ではない事を職員に説明する

あなたがJRの職員だったら、と考えてみましょう。群馬の高崎近くを走行中の列車で検札をしたら東京駅で発券された140円切符を持った乗客がいたり、入場時間から10時間も経過した140円切符を持った乗客が駅の改札を出して欲しいと言ってきたとします。不正乗車であれば、切符は没収の上で乗車区間に相当する運賃の3倍の額を請求しなければいけません。また不正乗車を大回り乗車だと言って誤魔化そうとする悪質な手口も横行しています。どうやったら不正ではない大回り乗車だと識別できるでしょうか?

よって最低でも行程表、できればルート図も用意し、すぐに見せられるように準備してください。

中には、大回り乗車についてあまり詳しくない職員も居るかもしれません。そこで基本ルールを駅員に説明する方法を紹介します。

以下に、イメージを掴みやすく説明するのに必要な範囲で低い解像度でJTBの時刻表のピンク色のページをスキャンした画像を紹介します。字は読めないと思いますが、時刻表の実物をご覧になれば、前述の基本ルールは「乗車経路を重複したり、2度同じ駅を通らない」と記されていますので、是非ご自分で時刻表を手にとって確認ください。

このように、大回り乗車についてあまり詳しくない職員が居たとしても、時刻表のピンク色のページの上記の箇所を見せれば基本ルールに関する説明は終わりです。時刻表は少し古いものでも、表紙とピンク色のページ以外を切り取っても構いません。

時刻表と同趣旨の記述は、JRの「きっぷあれこれ」に大都市近郊区間内のみをご利用になる場合の特例として閲覧可能です。

※ JRの時刻表には「2度同じ駅を通らない」の表現はありません。あるのは「重複しない限り乗車経路は自由に選べますが、途中下車はできません。」です。もっともこれを都合よく解釈し、2度同じ駅を通っても乗車経路は重複しないんだ、と考えるのはおかしいと思います。

途中下車

『大回り乗車完全ガイド』の p. 34, 36 に詳しく書かれています。

湘南新宿ラインの注意点

『大回り乗車完全ガイド』の p. 40-41 に詳しく書かれています。

「東京方面から品川駅を通って川崎方面に行った後、湘南新宿ラインは大崎を通るからこれで渋谷方面に行ける筈」と思ってルートを立ててしまい、「これで合ってますか?」と聞いて「駄目です」と指摘されるというのは、関東在住の大回り初心者が必ずやる「通過儀礼」のようなものでしょう。

区間外乗車の特例

知恵袋では、大回り中に区間外乗車の特例で重複乗車できますか、という質問が後を絶ちません。それで初心者に対し「聞かなければ分からない位だったら区間外乗車の特例で重複乗車をするのは止めておくべき」と言いたくてわざわざ書いたのがこの知恵ノートです。他に毎回のように議論になるのが時間の空費と思った事もあります。

前述の「不正乗車ではない事を職員に説明する」の節の例え話と似ていますが、遥か遠方の駅で発券された140円切符を持っていたら検札があった、あるいは入場して長時間が経過した140円切符を持って改札を出ようとして、「大回り乗車していました。ルートはこうです」と説明しました。認めてくれるといいですが、「これだと重複乗車になりますね」と職員に言われたとらどうしますか?

(© タイトル:ブラックジャックによろしく 著作者名: 佐藤秀峰 利用規約)

これでは意味が無いでしょう。最低でも、自分の言葉でなぜ重複乗車ではないのか説明し、職員を納得させる事ができなければ意味がありません。職業柄ルールを扱う立場で乗客の切符では区間外乗車の特例の適用を認めず重複乗車だと判断してきた場合は、職員を相手にスラスラと弁明して認めさせる必要がありますし、言い分が通らなければ差額あるいは罰金を払うか、それも嫌だと大声を出しゴネ続ければ一層面倒な事になる可能性もあるのですから、知恵袋で聞かなければ分からないぐらいなら説明など無理だから重複乗車はやめた方がいいという事になります。これは「上手に説明さえすれば必ず認めて貰える」という意味ではありません。最初から「認めて貰えばラッキー」という性質の物に過ぎないので、説明できないならなおさら認めて貰える可能性などないという事です。

知恵袋では「可能!」と叫ぶ人が沢山現れますが、「可能派」の人達は、実際に職員と区間外乗車の特例をめぐって議論し認めさせた経験は無いが可能だと信じている上に、その可能だとする解釈を信じて乗ったがトラブルに遭ったとしてもそれは自己責任であり、回答者は何ら責任を負わないとする人達ばかりであった事も付け加えたいと思います。

私が区間外乗車の取扱いの特例と併用が可能との解釈に基づく大回りをお勧めしないのは、基本ルールの場合と異なり、できるという法的根拠が無いためです。ですから「特例で重複乗車は必ず認められる → 認めないのは職員に知識がないだけ」と考えるのは違います。誤乗と同様ですが「認めてくれる場合もあるが、認められなくても文句は言えない」です。

区間外乗車の特例を乗客側が「認めろよ!」と要求する法的根拠は無い件に関するややこしい話は、拙著「大回りの初心者に区間外乗車の特例を勧めない事のお願い」をご覧ください。

経由地が複数指定できるオンライン時刻検索サイト

3つ紹介します。

  1. ハイパーダイヤ。経由地は最大3駅。日本語、詳細条件設定、線路は「JR」と「普通列車」以外のチェックを外す。ただし「ライナー」にチェックを入れる場合もある (後述)
  2. Yahoo!路線情報
  3. るるぶ.com。経由地は最大4駅。

ハイパーダイヤは駅や時刻や経由地などの情報がURLにエンコードされるのに対し、るるぶはCGIのURLを示すだけなので、何度かに分けて検索する長大な大回りの計画を立てる場合は、経由地は最大3駅ですがハイパーダイヤでないと計画が作成できないです。ハイパーダイヤはJRだけを検索できますが、Yahoo!路線情報は私鉄を除いて検索、といった事はできません。

なおライナーですが、

という理由のため、ライナーでないと接続時間が長くなってしまうなど、やむを得ない理由が無い限りは避けます。ハイパーダイヤの場合は、ライナーのチェックを入れた場合と外した場合で比較し、時間に大差が無ければライナーは乗らない計画にします。

切符の買い方

必須ではないですが、私は、指定席券売機がある駅では、例えば東京発の140円切符などではなく「東京→神田」のように行き先が明示された切符を購入しています。どうせ同じ金額で買えるのであれば効力が強い切符を、という事です。

券面の表記の上では、東京発の140円切符は、東京駅から3km以内の任意の駅まで乗客を運べばJRとしては契約を果たしますという有価証券になります。それに対し、「東京→神田」の切符の場合は、大都市近郊区内であれば経路に関わらずJRは神田駅までは乗客を運ぶ責任を負うという契約を表す有価証券になります。

もちろん、東京発の140円切符では大回りが出来ないといった事はありませんが、私は極端な大回りなど揉め事になるかもしれない場合はこのような僅かな差も気にします。みなさんにおかれましては、わざわざ指定席券売機で普通乗車券を購入するかどうかはお任せします。

駅構内で食料品を入手可能な駅と千葉の注意点

代表的な乗り換え駅かつ食事ができる

代表的な乗り換え駅だが駅構内に店がない

なお、友部では駅員に言えば改札外のNEWDAYSで買い物をさせてくれる、貼紙もあったという主張をする大回りのまとめサイトがあり、そのため知恵袋でもそれを鵜呑みにした回答がなされる事がありますが、途中下車前途無効の切符なのに恒常的に途中下車を認めているとは考えにくく、もし仮にあったとしても、途中下車をして大回りを続ければルール違反になりますので、違法行為を勧める情報および回答は無視してください。

※なぜか知恵ノートにリンクを貼ろうとするとエラーになるし、それではと URL をコピペするとそれ意向の内容が消えてしまうのですが、上記主張をするのは「東京近郊区間大回りWiki」の「小山」のページです。

千葉エリアは構内で食料入手な駅は著しく少ない

千葉 → 都賀 → 成田 → 松岸 → 成東 → 大網 → 安房鴨川 → 木更津 → 蘇我

と回ったとしましょう。都賀を過ぎたら木更津までは駅構内で食料品は一切購入不可能です。乗り換えのついでに寄れて食事も可能と好都合なのは、千葉と蘇我です。あらかじめここで食料調達または腹ごしらえをする事を計画に含めるのがお勧めです。

SLを見る

大回りで行ける高崎あるいは新前橋では頻繁にSLが見れます。SL関連・リゾートやまどり運転カレンダーをごらんください。それ以外の路線に関しては蒸気機関車に関するイベント情報を時々チェックしてください。大回りで行ける範囲の群馬・茨木・千葉にSLが走るイベントが行われる場合もあります。


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